大阪・京都でのカウンセリングと心理療法
カウンセリング機関の選び方
カウンセリングや心理療法を受けることのできる機関を選ぶにはどうすればいいでしょう。それにはやはり、良質なカウンセリング機関を選ぶ基準がいくつかあります。「GoogleやYahoo!で一番上に表示されたから」というような安易な理由で決めるということは、決してしてはいけません。誤解を恐れずに申し上げると、営利目的・利益追求型の機関はえてして検索エンジンの上位表示などが得意です。
カウンセリング機関の選び方
選び方その1.カウンセラーが社会的信用に足るカウンセリングに関する資格を持っていること
選び方その2.料金体系がはっきりしており、極端な料金設定(安すぎる・高すぎる)ではないこと
選び方その3.カウンセリングや心理療法を行う場所や時間が一定(カフェ等はダメ)していること
選び方その4.カウンセラーが必要以上にプライベートな連絡先や自分の経験等を語らないこと
選び方その5.Web上等で雑誌のような心理テストや、自由な交流用の掲示板等を用意していないこと
選び方その1.
カウンセラーが社会的信用に足るカウンセリングに関する資格を持っていること
さて、「社会的信用に足るカウンセリングに関する資格」とは何のことでしょうか。非常に残念なことに、現在(2008年8月)の日本では、心理カウンセリングや心理療法に関する国家資格はありません。
弁護士や医師は早いうちから国家資格として定められており、例えば手術などの医療行為を無資格者が行えば、法律により罰されてしまいます(業務の独占)し、また資格を持たないのに弁護士や医師を名乗ることですら、法律により罰されてしまいます(名称の独占)。アメリカや中国ではすでに国家資格として認められた心理カウンセリングに関する資格がありますが、日本ではまだ民間の資格・公的資格しか存在しないのです。
カウンセリングや心理療法は、無資格でも法的に罰される対象にはなりませんので、利用する側としては、カウンセラーが資格を持っていることを確認しなければいけませんが、似た資格が非常にたくさんあります。詳しくは「カウンセリングに関する資格」のところで紹介しますが、ここではその中でも特に社会的信用が高い資格を紹介しておきます。もちろん、これらの資格を持っていない人にも良いカウンセラーはいらっしゃるでしょうし、これらの資格を持っている人でも相性が合わなかったり、未熟なカウンセラーはいると思われますが、これを基準とすることでカウンセラーで失敗する確率は確実に減ることでしょう。
・臨床心理士:4年制大学卒業後、2年間の臨床心理士指定大学院(修士課程/博士課程前期)を経て、大学院を修了後、臨床心理士資格試験を受験・合格したもののみが取ることのできる資格。国家資格化法案も出されたことのある一番国家資格に近い資格。臨床心理カウンセラーという紛らわしい資格と間違えないこと。
・産業カウンセラー:職場でのメンタルヘルスの向上を目指し、日本産業カウンセラー協会が認める資格。初級・中級・上級に分かれており、初級で6〜7ヶ月の研修と資格試験の受験を必要とする。中級・上級は、初級から順に取っていく必要がある。
選び方その2.
料金体系がはっきりしており、極端な料金設定(安すぎる・高すぎる)ではないこと
カウンセリングや心理療法は、医療行為とはみなされていないため、健康保険(国保や社保)の対象ではありません。普段、病院で治療を受けたり薬をもらったりする時は、保険証を持っていれば3割負担(高齢者など一部異なる)などで受けることができ、例えば本来治療に1万円かかれば、患者側の負担は3割負担だと3000円で済みます。ですが、カウンセリングや心理療法では保険がきかず全額負担となってしまうため、病院よりは割高に感じるかもしれません。その中でもカウンセリングや心理療法にかかる料金の大体の目安は、1回50分5000円〜13000円というところでしょう。それより安いカウンセリングや高いカウンセリングは、なんらかの理由があることが考えられます。決して安ければ悪い、高ければ良いカウンセリングというわけではありません。
例えば大学でのカウンセリングは、学生のトレーニングを兼ねていることなどから、安めに設定されていることが多いですが、その分大学教員やSV(スーパーヴァイザー)の指導、学生の熱心な「助けになろう」という気持ちがあるので、ある意味で質の良いカウンセリングを受けることのできる可能性がありますし、完全に大学教員が担当しており、学生は陪席(隣に座っている)することで質が高くなる可能性もあります。
安いカウンセリング:公的機関の公的サービス、学生のトレーニングを兼ねている、無資格など
高いカウンセリング:日本や世界的権威の先生、クライエントが少なく経営難、利益追求型など
また、「料金をころころ変える」、「チケット制などでクライエントが自由にカウンセリング回数や時間数を決めることができる」という機関にも注意が必要です。クライエントがカウンセリング回数や時間数を決めることは、ある程度は必要ですが、初回のカウンセリング以外で120分とか180分とか無意味に長いカウンセリングは、カウンセラーにとってもクライエントにとってもよくありませんし、1週間に2回も3回もカウンセリングを薦められる場合は注意しましょう。もちろん、クライエント側の希望でカウンセリングの頻度や時間を決めることは全く問題ありませんが、通常1〜2週間に1度や、1ヶ月に1度のカウンセリングが多く、1回あたり50分前後が多いということをぜひ知っておいてください。カウンセリングの回数が多ければ多いほどいいわけではありません。「20回分のチケットを買えば2回分サービス!」などうたっているところは問題外です。
選び方その3.
カウンセリングや心理療法を行う場所や時間が一定(カフェ等はダメ)していること
カウンセリングや心理療法では、場所や時間という「構造」を一定させることで、カウンセラー自身やクライエントを守る意味を持っています。昔ながらの「オフィス来談型カウンセリング」が特にこれを強く守っており、最近ではカウンセラー自ら現場におもむくというケースも増えてきてはいますが、場所や時間が一定しない状態でのカウンセリングや心理療法は大変難しいと考えられています。現場におもむくことを研究対象にしている研究者は別ですが、悪質なカウンセリング機関では「場所が確保できないから」とか、「カフェの方が落ち着くから」というような理由で行っているところもありますので、カウンセリング機関を選ぶ際の気をつけるポイントとなります。
選び方その4.
カウンセラーが必要以上にプライベートな連絡先や自分の経験等を語らないこと
カウンセリングはカウンセラーのためにあるのでなく、あくまでクライエントのためにあります。クライエントが自由に話し、表現し、体験できる場がカウンセリングであり、心理療法なのです。カウンセラーは基本的に自分のことを語らず、必要な情報と、カウンセリングや心理療法に役立つと思われる最低限の情報を語ります。
ですので、カウンセラーが「困ったらいつでも電話・メールしてくださいね」とプライベートな電話番号やメールアドレスを教えることは決してありません(普通所属機関の連絡先のみを教えます)。いつでもプライベートで電話やメールができる状態にすることは、カウンセラーはいつまでも悩みに答え続けなくてはいけませんし、冷静に判断できなくなる危険性があります。クライエントにとっても、いつでも「電話すればいい」「メールすればいい」という考えだと、「わざわざお金を払ってカウンセリングに行かなくてもいいか」という考えになったり、治ろうとする目標があいまいになってしまう危険性がありますので、よほどの例外がない限りカウンセラーは絶対にプライベートな連絡先を伝えないことになっています。
またカウンセラーは、基本的にクライエントの話に耳を傾けることを中心にしているので、自分自身の経験を話すことはほとんどありません。もちろん会話の中で自分自身の経験を話す必要も出てきますし、それを話すことでカウンセリングや心理療法が良い方向に進むと考えられる場合は話すことがありますが、貴重な50分のカウンセリングの時間の中で、5分も10分もカウンセラーが自分の経験を話し続けることには気をつけた方がいいでしょう。未熟なカウンセラーほどその傾向があります。自分の経験をお互いに話しあっていることは、専門家のカウンセリングではなく、ただの友人同士・先輩-後輩関係などでのお悩み相談です。
選び方その5.
Web上等で
雑誌のような心理テストや、自由な交流用の掲示板等を用意していないこと
これは「用意していないこと」なので気をつけてください。つまり、「用意していてはダメ」だということです。Webなどでは、自己チェック用の心理テストなどを用意しているかもしれません。信頼性・妥当性のある心理テストは、むやみにWeb上などで公開できないようになっていますし、本物の心理テスト(心理検査)を受けるには、必ず専門家の立ち会いのもとでしなければいけません。基本的にWeb上での心理テストを完全に信じてしまってはいけませんが、モノによっては自己チェックの参考にはなるかもしれません。ただ、雑誌でよくある「○○の場面で、あなたは以下の4つのうちどれを選びますか?」というような3択・4択などで単純に分けられてしまう心理テストは、決して「心理学」ではなく、占いに近いものだと考えられます。このような心理テストを、Web上に載せているところは、「心理学」という学問に照らしたカウンセリングではなくて、直感的・経験的にやっているようなカウンセリングを行っているところである可能性が非常に高くなります。
また、「自由な交流用の掲示板を用意していないこと」というのは、「自由な交流用の掲示板がもたらす不測の事態を予測していない(もしくは、できない)」ということです。そういった掲示板(もしくはチャット)では、精神的にダメージを受けている人や、何らかの障害で悩んだりしている人が利用するわけですから、ケンカが起こる可能性・いじめが起こる可能性・掲示板が荒らされる可能性・自殺(他殺)予告が行われる可能性・誹謗中傷がされる可能性など、多くの不測の事態が考えられるため、かなり掲示板を用意することには用心深くなる必要がありますし、これらを予測していない(もしくは、できない)ということは、実際のカウンセリングでも不測の事態への予測をしていない(する能力がない)可能性が高いと言えます。
以上のことから、雑誌の心理テストや、自由な交流用の掲示板等を用意しているカウンセリング機関は十分に気をつけましょう。
最後に
ここでは、カウンセリング機関を選ぶための最低限の基準を紹介しましたが、やはりそれでもカウンセラーとの相性なども重要になってきますし、カウンセリングや心理療法の進め方についても向き不向きがあると思います。これらは、実際にそのカウンセラーに会ってみないとわからないわけですが、このページで紹介した内容や、このほかのページに書いてある情報を利用して、カウンセリング選びで失敗することをできるだけ減らしてもらうことが管理人にとっての願いです。